建替えをきっかけに契約を見直したいとき、どう交渉する?
「建替えたいんですけど」
そんな相談を受けて、すぐに「ダメ」と言いたいわけじゃない。
でも、心のどこかで「このまま承諾するのもモヤモヤする」と感じていませんか?
この記事は、借地人の建替えを“承諾してもいい”と思っている一方で、
契約内容や条件を今のままでは続けたくないと感じている地主の方に向けて、
建替えをきっかけに契約を見直す交渉の進め方と、
地代・承諾料・契約形態など、整理に向けて提案できる選択肢を具体的にご紹介します。
この記事でわかること
・「このままでは続けたくない」と思ったときの整理案
・地代や承諾料の交渉材料と目安
・トラブルにならない伝え方と段取り
「承諾はするけど、このままじゃ困る」と感じたあなたへ
「建替え?承諾してもいいけど…でも…」
そんなふうに思った方の中には、こんな悩みがあるのではないでしょうか。
- 昔のままの地代で、維持費にも見合っていない
- 更新料や承諾料を受け取ったことがなく、不公平を感じる
- 契約書もなく、何かあったときの責任が不安
- 建替えされると“今後もずっとこの関係が続く”気がして不安
実際、建替えのタイミングというのは、借地人側も地主の承諾を必要とする局面です。
だからこそ、「この機会に条件や契約内容を見直しませんか?」と伝えるには、もっとも自然で、実は交渉しやすいタイミングでもあります。
次は、建替えをきっかけに見直すことができる契約内容の整理ポイントについて、順番に紹介します。
契約を見直すために提案できること
建替えの話が出た今こそ、実はこれまで曖昧だった契約や条件を整理する絶好のタイミングです。
ここでは、地主側から提案できる代表的な見直しポイントを3つ紹介します。
1)地代の改定
昔の契約のまま、地代が何十年も据え置きになっているケースは少なくありません。
固定資産税や地価の上昇、維持管理費などを踏まえ、現在の相場と見合った水準への改定を提案しましょう。
- 近隣の地代相場を調査(不動産会社に聞く・裁判例も参考)
- 固定資産税課税明細と比較して説明材料に
- 「建替え後にさらに長く使われる」前提を伝えて、交渉の根拠に
借地借家法第11条により、地主は相当の地代への増額請求が可能です。
ただし合意ベースが理想なので、「承諾とあわせて、整理したい」と交渉するのがスムーズです。
2)承諾料・更新料など金銭面の明文化
建替え時には「建替え承諾料」を支払うのが慣習的なルールです。
相場としては、更地価格の3〜5%前後が目安と言われています(地域により異なります)。
- 建替え承諾料の提示(将来的な覚書に明記)
- 今後の更新料・名義変更料なども「定額制」で明文化
- 「整理しておけば相続時にもトラブルを防げる」と伝える
お金の話は切り出しづらいですが、建替えの許可という「契約変更」を機に出すことで、自然な流れになります。
3)契約形態の見直し(定期借地などへの切替)
建替え後も“更新型の契約が永続する”ことに不安を感じる場合は、
定期借地契約への切替えや、次回更新で終了とする条件付きの承諾も選択肢になります。
- 建替えを承諾する代わりに「定期借地への切替」を提案
- 「今回をもって最後の更新とする」合意を覚書で交わす
- 将来的な返還条件(更地で返す/期限付き)を明記
借地人にとっても、「いつまでも続くのでは…」という不安が減り、
地主側も将来の整理がしやすくなる“着地点づくり”につながります。
次は、こうした契約見直しの交渉を、トラブルなく進めるための
段取りと伝え方のコツについてご紹介します。
トラブルなく進めるには、段取りと伝え方がすべて
契約内容の見直しは、「お金」や「今後の関係」に関わるセンシティブな話題です。
だからこそ、感情的にならず、あらかじめ整理と準備をしてから伝えることが、円滑な交渉のカギになります。
交渉の前にしておくべき整理
- 現在の契約内容を確認(契約書・名義・更新履歴)
- 地代・更新料・承諾料など過去の金銭やり取りを洗い出す
- 地価や固定資産税など、数値的な根拠を集めておく
- 近隣の地代相場や裁判例を調べ、客観性を担保
「感情」ではなく「根拠ある背景」として交渉できる準備が、信頼にもつながります。
伝えるときの言葉の選び方
伝え方ひとつで、相手の反応は大きく変わります。
「これまでの条件では厳しいので変えたい」ではなく、建替えを機に一緒に整理しませんか?というスタンスがベストです。
相手に「交渉された」ではなく、「相談された」と思ってもらえるかが、交渉成功の鍵になります。
書面化と専門家の活用で安心感を
合意内容や金銭の取り決めは、覚書・契約変更書・承諾書などにきちんと明記しましょう。
- 契約の変更点(地代・期間・更新料など)
- 承諾料の支払い条件と金額
- 将来の整理方針(更新回数制限/定期借地への切替など)
契約書作成や交渉時の第三者立ち会いには、行政書士や不動産専門の弁護士を活用するのもおすすめです。
次は、この記事のまとめと、今後に向けた視点をお伝えします。
まとめ|建替えは「契約を整理する」チャンスでもある
借地人から建替えの相談を受けたとき、
「続けるのは構わない、でもこのままでは不安が残る」と感じたなら、
それは契約内容を見直す“正当なサイン”です。
今回の記事では、そんな方のために:
- ● 地代や承諾料、契約の更新条件を整理する方法
- ● 交渉の材料・伝え方・書面化のポイント
- ● 相手との信頼関係を維持しながら進める工夫
をご紹介しました。
“話を持ち出すきっかけがなかった”という方も、
建替えのタイミングは、整理と再確認に最も自然な場面です。
将来に備え、土地の使い方を見直すチャンス
契約を見直すことで、「借地人との関係性」も「資産としての安定性」も整え直せます。
専門家のサポートが必要なときは、無料相談や紹介も行っています。お気軽にご活用ください。
コメント