借地権付きマンションってどうなの?購入前に知っておきたい4つの疑問と判断軸

借地の基本と制度・トラブル対応

借地権付きマンションってどうなの?購入前に知っておきたい4つの疑問と判断軸

駅近・新しめ・広さも十分なのに、周辺相場よりずいぶん安い。
「おっ、掘り出し物かも?」と思ったその物件、よく見ると「借地権付きマンション」と書かれていませんか?

土地を所有していない、つまり“借りた土地に建っているマンション”というこの形態。
気になって調べてみたものの、「結局どうなの?」と判断に迷う人は少なくありません。

この記事では、借地権付きマンションの購入を検討している方向けに、「なぜ安いの?」「ローンは?」「売れる?」「将来どうなる?」という4つの疑問を軸に、制度と注意点をわかりやすく解説していきます。

なぜ安い?借地権付きマンションの基本と価格の理由

借地=土地の所有権がない、だから建物だけの価値

借地権付きマンションとは、土地を所有せず、建物の「使用権」だけを持つマンションのことです。

そのため、通常の分譲マンションと比べて、土地代が価格に含まれていない=割安になるのが特徴です。

ただし、地代(月々の土地使用料)を払い続ける必要がある点や、土地の所有者との契約条件に左右される点は、購入前に理解しておくべき重要事項です。

普通借地と定期借地の違いが超重要

借地権には大きく分けて「普通借地権」と「定期借地権」があります。

  • 普通借地権:更新が可能。長く住めるが更新料がかかることも。
  • 定期借地権:原則更新なし。期間満了で更地返還が基本。

この違いは、住み続けられるかどうか、将来の資産価値売却しやすさなどに大きな影響を与えます。

「定期借地だけど価格が安いからラッキー」と思っていると、後々「更新できない・住めなくなる」などのリスクに気づくことになります。

「なぜ安いのか」が分かると、選ぶ目が変わる

借地権付きマンションが安い理由は、「欠陥」ではなく、「制度上の仕組み」によるものです。

つまり、「普通のマンションと比べて条件が違う=価格にも反映されている」だけの話。
安さだけで飛びつくのではなく、「条件込みで納得できるか」が判断の分かれ目になります。

次は購入時に直面する住宅ローン・税金・将来価値といった実務面の注意点を解説します。

住宅ローン・税金・資産価値…借地マンション購入時の注意点

住宅ローンは組める?審査が厳しくなるって本当?

結論から言えば、借地権付きマンションでも住宅ローンは組めます。ただし、条件や審査基準が通常より厳しくなる傾向があります。

金融機関は「土地の所有がない=担保価値が低い」と判断するため、借入可能額が下がる・頭金を多く求められるといったケースがあります。

また、借地権の契約内容や残存期間によって融資が断られることも。不安な場合は、借地物件の融資に実績のある金融機関に事前相談しておくのがおすすめです。

固定資産税や更新料など、保有してからのコスト

借地権付きマンションでも固定資産税は建物部分に対してかかります
ただし、土地を所有していないため、通常より税額は抑えられることが多いです。

一方で、毎月の地代(土地使用料)や契約更新時の更新料が発生します。
これらは購入価格には含まれていないため、長期的なコストとして見込んでおく必要があります。

特に「更新料」は数十万円単位になることもあり、契約時点で更新料の有無・額・支払タイミングを確認しておくことが重要です。

資産価値は下がる?将来売るとき困る?

借地マンションは、一般的に資産価値の下落スピードが速いとされています。

その最大の理由は、借地期間が短くなるほど、売りづらくなるためです。

たとえば、借地残存期間が10年を切ると、購入希望者のローン審査が通りにくくなることもあり、売却できたとしても価格が大きく下がる可能性があります。

したがって、「短期で住んで売る」つもりならともかく、「終の棲家」や「資産形成目的」で購入するには、注意が必要です。

次は買う前にチェックしておくべき具体的な項目と、失敗しないための選び方についてご紹介します。

買うならここを見て!借地権付きマンションのチェックポイント

絶対に確認したい「借地期間」と「更新条件」

借地権付きマンションで最も重要な確認ポイントは、「借地期間がいつまでか」です。

残りの借地期間が短ければ短いほど、売却やローン審査が難しくなり、資産価値も低下します。
目安として20年未満の場合は慎重な判断が必要です。

また、契約が「更新可能」なのか、「定期で更新なし」なのかも要チェック。
更新料の金額や条件も事前に確認しましょう。

地代・更新料・名義人などの「契約情報」

契約書には、以下のような情報が明記されているはずです:

  • 月々の地代
  • 更新料の有無・金額・支払頻度
  • 借地権の名義(個人 or 組合)
  • 地主(底地権者)との連絡窓口

管理組合に任せきりにせず、自分でも契約の概要を理解しておくことが、購入後の安心につながります。

売却しやすい物件の条件とは?

借地付きでも、以下の条件を満たす物件は比較的売却しやすいと言われています:

  • 駅近や人気エリアに立地している
  • 借地期間が30年以上残っている
  • 地代が適正・管理がしっかりしている
  • 借地人と地主の関係が安定している

将来的に売却を考えているなら、「資産価値が落ちにくい条件」を意識して選ぶとよいでしょう。

「安いから買い」ではなく、「知って選ぶ」買い方を

借地権付きマンションは、確かに価格のメリットがあります。
しかし、それはリスクや制約を織り込んだ価格であることを理解することが大切です。

価格の理由、契約の内容、将来の資産価値──そのすべてに納得できた上で選べば、「安くて良い買い物」になる可能性も十分にあります。


まとめ:借地権付きマンションを選ぶなら、“確認”と“納得”がカギ

「価格が安い」というメリットに目が行きがちですが、借地権付きマンションには独特のルールと将来的な制約があります。

住宅ローン・地代・契約更新・売却時の難しさ…さまざまな側面を事前に把握し、自分に合ったかたちで“理解して選ぶ”ことが大切です。

将来にわたって安心できる住まいとするために、「安い理由」を知り、「何が起こるか」を想定しながら判断していきましょう。

借地だからNGではなく、借地だからこそ“よく見て選ぶ”。
それが、後悔しない住まい選びの第一歩です。

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